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August 22, 2005

惨劇1歩手前(1)

 8月20日土曜日、中央線沿線にある入笠山へ行った帰りの出来事だった。
 りんどうの里駅登り15時32分発高尾行の普通列車に乗った。列車は6両編成で、混んでいるとは言えないが、2人で4人が相向かいになって座る席を占拠できるほど空いてはいなかった。ようやくドアのすぐ横にある2人用の席を見つけた。4号車のちょうど真ん中のようだ。
 およそ1時間、何事もなく甲府駅到着。定刻から3分ほど遅れて発車。石和温泉駅を過ぎ次の春日居町駅を過ぎてから暫くして、上半身裸の男がなにやら訳の分からないことを叫びながら3号車の方から5号車の方へと勢いをつけて去っていく。金髪、青い作業着ズボンにズック、身長は175前後で筋肉質、日に焼けてはいるがまあ整った顔つきで普通の目つきであった。
 多分最後尾の6号車まで行って引き返してきたのだろう、相変わらず訳の分からないことをわめき、ドアを叩いたりしながら行きつ戻りつしていた。いつの間にかパンツ一丁で走り回り始める。男の移動に伴い、車内を移動する人たちも出てきた。
 そうこうするうちに山梨市駅が近づいてきた時「都合によりドアは開きません」との車内放送が繰り返され、山梨市駅に到着してもドアは開かない。乗客は車内に缶詰にされたまま。5号車の方が騒がしいので見ると男が消化器をぶちまけている。
 それに飽きるとこちらの方に向かってくる。若い女性達のグループは悲鳴を上げながら開かないドアの前に立ちつくしたまま。男は彼女たちを見て何言か毒づきながら3号車の方へ。すると3号車から逃げてきた男性が窓を開けホームに降りた。それを見て続いた人が脱出した直後、男がその窓から身を乗り出しホームにいた人に「覚醒剤やってんだ、網走なんか怖くねぇーぞ」と吠える。
 そしてまた5号車の方へ。右足のふくらはぎが血だらけだ。後でわかった事だが3号車と4号車の連結器のドアを消化器で叩き割り、そのガラスの破片で切ったようだ。
 私の目の前を通り過ぎる時、近くにいた中年の男性に
 「おばさん、ゴメンよ!! 拭かせて」と良いながら右足のふくらはぎを男性のシャツにこすりつけて行った。さらには何処かから、自分の財布だと思うが持ち出し中身をぶちまけた。
 この間、窓の外に駅員が1人ウロウロしているのを見かけただけ。私は不安と苛立ちの中、抵抗もできずただひたすらジッとしていたが、他の乗客の心境はどうであったか。

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